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  • shigeru-nagai

◆チームブログ◆ 能力と風貌について


 本日は、能力と風貌について。


 ところで、岡山の隠れた偉人の一人「丸川松隠」をご存知でしょうか。備中聖人の山田方谷先生の親代わりでもあった人で、儒学の師でもありました。また、実は、佐藤一斎が一目置いた傑物としても知られています。


 さて、非常に優れた儒家であり政治家であったのですが、見た目もバリキャリ風にイケメン?スマート?、そう思いますよね。いやいや、実がそんな事がなく、初めて会う人、困っていたようでして。


 これは、「丸川松隠伝」にある一節(少し端折っています)です。

藩主に目通りした丸川松隠をみた家臣たちは、一様に唖然とした。これが期待された人物なのだろうか。というのは、松隠の風貌が、凡そ そうではなかったからである。小柄で尖った顔つき、目は離れ、出っ歯である。粗末な服を着て、見た目も若さ無く老人のようだった。

 藩主や家臣らが「え?失敗したんじゃね?」と思ったみたいなんですね。これ。


 かの高名な佐藤一斎も、松隠の墓碑には以下のように記しています。現代語訳です。

「一目みれば、疲れた人のようであり、さながら愚人のようにみえる。しかし…」

 実際、肖像画を見てみますと、風貌は其のとおりで、実物はギョッとするような感じだったのかもしれません。


 ただ、儒家として政治家としての能力的な面では非常に優れており、また、備中聖人の山田方谷先生を幼少期から育てていますから、岡山の地域に与えた影響は計り知れない人物でありました。山田方谷先生を学ぶのに、丸川松隠を学ばないのはモグリであると言われる所以です。


 見た目や風貌に囚われて、丸川松隠を風貌のよくない男・能力の低そうな男だと軽んじていれば、後の人材の宝庫と言われた岡山地域の状況においては、山田方谷先生も輩出される事もなく、相当なマイナス影響があったろうと思われます。


 昨今、インスタントに「正しさ」「わかりやすさ」を求める風潮がありますが、少し立ち止まって、よく対象を観察し、まずは受け入れてみるというのも大事な事だろうなと思った次第です。



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